工数管理は導入コストだけではなく、工数管理にかかる手間や人件費も比較して検討しよう。
今すぐできる工数削減の4原則!実施方法や失敗事例も解説
不要となる工数を削減し、業務効率化を向上させたいと悩んでいる企業様も多いのではないでしょうか。
現在、労働人口の減少や採用コスト・外注費の高騰、2025年の崖など、さまざまな課題に対応するために、工数削減が注目されています。
工数削減を行うのであれば、ECRS(イクルス)の4原則を活用し、コスト削減から生産性向上、従業員の作業効率化を進めるのが効果的です。
ここからは、工数削減とはなにか、重要視されている理由から、ECRS(イクルス)の4原則など、工数削減を今すぐ実行するためのポイントを解説していきます。
目次
そもそも工数削減とは?
工数とは、作業を完了させるために必要な時間と人数のことで、工数削減とは、工数の見直しを行い不要な業務を削減させることです。
具体的には、どこに工数がかかっているのか見直しを行うことで、不要な作業や人数を減らし、適切なリソース管理を行っていきます。
工数削減を行うことで、1つのプロジェクトにかかる原価が減らせるようになり、経営課題の解決につながります。
さらに、プロジェクトの進捗状況もリアルタイムで可視化されるため、従業員の負担を軽減できるよう、すぐに対策を行うことも可能です。
工数削減は経営課題の解決に直結する
工数管理は、プロジェクトごとにかかっている経費や従業員の労務費を算出し、原価を把握する目的で行われます。
原価を算出するためには「人件費・経費・材料費」をそれぞれ数値化する必要があります。
経費や材料費は請求書などがあるので簡単に出せますが、人件費については「誰が、何時間作業したのか」によって変わるため、工数がわからないと算出できません。
特にクリエイティブやコンサルティング業など、人件費の割合が多い業種は、工数の算出と削減が重要視されています。
また、工数管理の見直しを行うことで、赤字プロジェクトを早期発見することが可能です。
その結果、赤字プロジェクトにならないよう、早い段階で対策を考えたり、人材の補充や業務の見直しを行いやすくなります。
さらに、必要以上に人材が確保されている・すぐ終わるはずの業務に時間がかかりすぎているなどの、進捗状況も可視化できます。
時間あたりの生産性が向上できれば、余計な労務費用経費がかからなくなり、経営課題の解決がスムーズに行えるようになるでしょう。
工数削減が重要視されている理由
工数削減が重要視されている理由には、労働人口の減少や採用コスト・外注費の高騰などがあげられます。
労働人口の確保が難しい現代では、いかに効率よくスムーズに業務が進められるかが非常に重要となってきます。
また、経済産業省が発表している「2025年の崖」の対策のためにも、工数削減は非常に重要です。
工数削減が行えれば、少ない人数でも滞りなく業務が進められるようにプロジェクト管理を行えるようになります。
労働人口の減少
少子高齢化が進む現代では、労働人口の減少により、欲しい能力を持った人材の確保が難しくなっています。
さらに、求職者としても入社したいと考える企業のレベルが年々高くなっているので、中小企業の場合、人材確保が非常に困難です。
そのため、各プロジェクトの不要な作業を減らし、業務を効率化させることは、企業として率先して取り入れる必要があります。
少ない従業員でも、効率よく業務を進めて柔軟に対応するには、工数管理による分析と工数削減が非常に重要です。
採用コストや外注費の高騰
労働人口の減少により、欲しい人材の確保のために採用コストがかかりすぎることが課題となっています。
さらに、最低賃金が引き上げられていることにより、外注費も高騰しているので、企業は業務効率化により出費を抑える必要があります。
しかし、業務を進めるには人材が重要なので、人材の削減よりも不要な経費を減らして、プロジェクトの進行を見直すことでコストを抑えなければなりません。
そのため、工数管理により分析を行い、不要な作業やリソースを削減し、業務効率化を図ることが重要とされています。
2025年の崖とDXの問題点
経済産業省のDXレポートによると、2025年頃からこれまでシステムを作ってきた人材の退職が始まると発表がありました。
さらに、導入しているITシステムの老朽化やサポート期限の満了も同時に発生するため、企業にとって大きな打撃になると考えられます。
その結果、これまでスムーズに行っていた業務が進められない・どのように業務を行っていたのかがわからないなどの問題が起きてしまいます。
そのため、企業としては工数削減により人材を確保し、DX化を進めていかなければなりません。
工数削減によって得られる3つの効果
工数削減を行うことで、人件費や経費が可視化されるため、不要な部分が明確となり、コスト削減につながります。
さらに、従業員が効率よく業務を進められるよう、プロジェクトを分析して人員配置ができるので、時間当たりの生産性が向上します。
また、不要な業務を削減し効率化することで、従業員の負担が軽減されるようになり、職場環境の改善にも効果的です。
工数削減により、経営問題の改善だけでなく従業員の負担も軽減できるため、取り入れることのメリットは非常に大きいでしょう。
①人件費や経費などのコスト削減
従業員ごとに持っている能力が異なるため、工数管理により従業員がそれぞれどのように業務を進めているか把握できます。
その結果、それぞれのスキルにあったプロジェクトに配置することができ、より効率よく業務を進められるようになります。
さらに、工数管理ではプロジェクトごとの採算が可視化できるため、どの作業にどのようなコストがかかっているかも明確になります。
原価管理が正しく行えるようになり、不要な工数が明確になることで、コスト削減につながるので、工数削減は企業にとって必要不可欠です。
②時間あたりの生産性向上
工数管理により、従業員が1つのプロジェクトにかけた時間が明確となるため、進捗の遅れが出ているかどうかリアルタイムで可視化できます。
進捗が可視化されることで、遅れのあるプロジェクトの進め方をすぐに見直せるようになり、時間あたりの生産性が向上します。
また、少ない従業員だとしても、適切な能力を持った従業員をプロジェクトに割り振ることで、効率的に業務を進めることが可能です。
人材の適切な配置やプロジェクトの進め方の見直しにより、時間あたりの生産性が向上するため、コストをかけずにクオリティの高い業務が行えます。
③従業員の負担軽減
工数削減により、不要な業務の削減や業務効率化が進められるので、従業員の負担を軽減できます。
工数管理では、業務の進捗状況がリアルタイム分析できるため、不要な業務を見つけやすくなります。
また、作業が滞りやすいポイントなども可視化され、対策を行いやすくなるので、業務効率化も進むようになるでしょう。
工数管理は工数を入力する従業員にとってはストレスになりがちですが、監視目的で行うのではなく、従業員の目線で改善を行うことで、本質的な工数削減になります。
工数がかかっている工程を見直してストレスの要因を排除したり、負担が大きい従業員に対して声掛けして原因を払拭することで、根本的な解決が期待できます。
原価を抑えて十分に利益を得られるようになれば、その分従業員にも還元できるため、しっかりと工数削減していきましょう。
工数削減を実現させる「ECRS(イクルス)」の4原則
ECRS(イクルス)とは、以下の英単語の頭文字から作られた言葉です。
- Eliminate【排除】
- Combine【結合と分離】
- Rearrange【入れ替え】
- Simplify【簡略化】
ECRS(イクルス)とは、工数削減を進める際に使えるフレームワークで、ECRSと順番に進めていくことで効果を発揮します。
Eliminate【排除】では、無駄な作業の可視化を行い、Combine【結合と分離】にて、同じ業務を1つにまとめ、異なる行を分離させます。
次に、Rearrange【入れ替え】では、業務を効率化できないか、作業手順の入れ替えを行っていきます。
最後に、Simplify【簡略化】にて業務をさらに簡略化できないか見直すことで、工数削減を実現させることが可能です。
Eliminate【排除】
Eliminate【排除】では、プロジェクトや業務ごとに不要な作業が発生していないかを確認し、排除していくことを指します。
具体的には、直接業務と間接業務に分けて、無駄な業務が発生していないか見直していくことが効果的です。
直接業務の場合、生産性が高い従業員とそうではない従業員に対してヒアリングを行うことで、どのような工程を行っているのか把握できれば、無駄な作業が把握しやすくなります。
また、報告、会議、事務作業などの間接業務にどれだけの工数がかかっているか可視化することで無駄な工数を排除できる可能性があります。
その他には、1つのプロジェクトに人員が集中しており、不要な作業が多く発生していた場合においても、無駄な労務費が発生してしまうため、見直しが必要です。
工数削減を実現させるのであれば、まずは業務に不要な作業が発生していないかどうかを確認し、排除するようにしましょう。
Combine【結合と分離】
Combine【結合と分離】では、同じような作業をバラバラに行っていた場合、一緒に作業を行うように作業工程を変更します。
たとえば、同じシステムや機材を使う業務を1つにまとめることで、分けて行うよりも早く完了できるようになります。
また、自社の得意領域とそうではない領域の両方を請け負っており、不得意分野の工程に多くの工数がかかっている場合、外注化させて分離することで効率化できる場合もあります。
それぞれの作業工程の見直しを行い、同じ種類の業務をまとめて進めるように組み直すことで、より効率的に業務を行えるでしょう。
Rearrange【入れ替え】
Rearrange【入れ替え】では、作業工程や場所、従業員を入れ替え、工数削減を進めていきます。
具体的には、作業手順を見直すことで、より効率化できる方法を見つけられたり、人員配置を変えることで生産性向上が期待できます。
Rearrange【入れ替え】を行う際には、作業そのものを全く別の方法に変更することがあり、ただ入れ替えるだけではありません。
非効率的な作業を見直し、工程を改善したうえで業務フローの入れ替えを行うことで、より効果的な工数削減が期待できます。
Simplify【簡略化】
Simplify【簡略化】は、ECRを行ったうえで、もう一度、工数削減できる場所を探していきます。
業務をシステム化したり、作業内容を省略したりすることで、工数削減しつつ生産性を向上させられます。
手作業で行っている業務をシステム導入して自動化できれば、人手不足であっても業務を効率化できるでしょう。
業務全体の見直しを行った上で、より簡略化して業務を進められるように、仕組みづくりが大切です。
工数削減を行うための6ステップ
工数削減を行うために、まずは各業務プロセスの工数を確認し、どの業務に多くの時間や人件費がかかっているのか確認していきます。
次に、工数削減する業務の優先度を決め、ECRS(イクルス)の4原則に則り、プロセスの見直しを行いましょう。
また、業務における作業範囲と担当者を明確にし、新しいプロセスで作業を実施できるように仕組みづくりをしていきます。
最後に、改善前と改善後の工数を確認し、正しく工数削減できたかどうか比較を行い、効果測定を行いましょう。
STEP.1各業務プロセスの工数を確認する
工数削減を行うのであれば、各業務プロセスの工数を確認し、現在どのように業務が進められているのか確認を行います。
すでに組まれている工数は、必要な業務として扱われているものとなり、詳細を確認せずにいきなり削減するのはおすすめしません。
現状を把握しておくことで、工数削減後の効果測定がしやすくなるので、できるだけ詳細に工数の確認をすることがおすすめです。
そのため、業務全体にかかっている時間や、従業員ごとの業務負担量をしっかりと把握したうえで、状況の整理を行っていきましょう。
注意点としては、作業者目線と管理者目線では工数の見え方が全く異なるため、工数の数字だけを見るのではなく、必ず現場にヒアリングしたうえで状況も把握することが大切です。
STEP.2工数削減する優先順位を決める
各業務プロセスの工数確認ができたら、まずはどの工数を削減するのか優先順位を決めていきましょう。
いきなり全ての工数を削減しようとしても、数が多いとなかなか進まないため、重要度や緊急度の高いものから行うことがおすすめです。
この時、影響範囲が広い業務を見直すよりも、影響範囲が少ないものから工数削減していくほうが効率良く進められます。
もし、工数削減をしたことによるトラブルが起きても、すぐに解決できるので、まずは小規模から行うようにしましょう。
STEP.3ECRS(イクルス)の4原則でプロセスを見直す
ECRS(イクルス)の4原則に則り工数の見直しを行うことで、より効果的に工数削減が行えます。
さらに、より業務を効率化させるなら改善内容からさらに簡略化できないか、見直しを行うことが重要です。
はじめて工数削減を行うのであれば、手順に則って作業を進めていく方が安心なため、ECRS(イクルス)の4原則を参考に改善していきましょう。
STEP.4作業範囲と担当者を明確にする
作業を行う際には、担当者と業務範囲を明確に決めておくことで、従業員は集中して業務に取り組めるようになります。
もし、作業範囲が不明瞭となっていた場合、想定していない業務まで進めてしまう可能性があり、不要な工数が発生します。
しかし、作業範囲と担当者が明確となっていることで、従業員は自分が何をしなければならないのかを把握しやすくなるでしょう。
無駄な作業を減らすことで、工数の削減を行いつつ、従業員も1つの業務に集中することで業務に対する理解度も深まります。
STEP.5新しいプロセスで作業を実施する
STEP1から4まで完了したら、実際に新しいプロセスで作業を実施します。
業務内容を洗い出して、効率的だと思われる方法に変更したとしても、実際に作業をしてみると新たな発見が出てきます。
そのため、もっと効率的に作業を進められる方法が見つかったり、思ったよりも工数がかかってしまったりと、課題点を見つけやすくなります。
実際に新しいプロセスで作業を実施して改善点がないかを確認し、より効果的に工数削減できるように見直していきましょう。
STEP.6改善前と改善後の工数を比較する
実際に改善した後の業務プロセスでは、どのように工数が変化したか比較してみましょう。
具体的にどういった部分が効果があったのか明確にさせることで、どこを改善すべきなのか検討しやすくなります。
また、実際に業務を行っている従業員にもヒアリングを行い、改善前と改善後ではどちらの方が負担が軽かったかも調査を行います。
定期的に比較した結果をもとに、改善点を洗い出して改善を行っていき、現在の業務状況に合わせて工数削減していきましょう。
工数削減でよくある失敗事例と効果的な対策
工数削減を行うのであれば、工数管理ツールの導入がおすすめですが、選ぶ際には機能面に注意しなければなりません。
たとえば、入力の手間がかからない製品を選ぶことで、従業員が工数をつけることに対して、不満を感じにくくなります。
さらに、勤務時間と工数が一致しているか自動で確認してくれるツールであれば、精度の高い工数管理が行えます。
ダッシュボード機能がある製品なら、工数がグラフとして表示され、リアルタイムで分析しやすくなるので、効果的に工数管理したい方におすすめです。
失敗事例①工数入力の手間より導入コストを重要視してしまった
工数管理を行う時は、できるだけ当日中に行うことが望ましいため、従業員が入力しやすいツールを選ぶことが大切です。
Excelであれば、コストをかけずに工数管理が行なえますが、「工数の入力や分析をするための工数」がかかってしまうようでは、本末転倒です。
安価で非効率な工数管理を導入するより、導入コストがかかっても作業の負担を軽減できるものであれば、結果的にはコストをかけた方が生産性向上が期待できます。
また、工数管理ツールの中には、スマートフォンから利用できるものがあり、パソコンが支給されていない現場の従業員でも気軽に入力できるものもあります。
入力する項目数は必要最低限にし、実際に入力する従業員が手間にならないような製品を選ぶようにしましょう。
失敗事例②勤務時間と工数入力が一致していなかった
工数管理において勤務時間と工数が一致していることは、厳密な工数管理を行うために必要です。
正社員の場合、基本的に1日8時間勤務の企業がほとんどだと思いますが、実際に記載した工数が7時間となると、不明瞭な1時間が発生してしまいます。
1ヶ月のうちに不明瞭な労働時間が発生していると、正しい労務費が算出できずに、精度が高い工数管理が行えません。
そのため、勤務時間と工数を一致するように、ノンコア業務や雑務であったとしても項目を作り工数をつけるようにしましょう。
また、工数管理ツールであれば勤務時間と工数が一致しているかを自動で確認できる機能が搭載されており、精度の高い工数管理が行えます。
正確な工数管理を行いたい場合は工数管理と勤怠管理がセットになっているシステムを検討しよう。
失敗事例③工数分析がしにくく改善策の具体化ができなかった
工数管理は、分析から改善まで実施することで効果を発揮しますので、分析しにくいツールで管理すると、工数削減の効果も薄れてしまいます。
そのため、分析のしやすさを重要視するなら、ダッシュボード機能が付いており、グラフでプロジェクトの進捗や原価を視覚的に把握できるものがおすすめです。
グラフで工数が表示されるので、特定のプロジェクトだけ1日の工数負荷が大きい場合、人手不足となっているプロジェクトが一目でわかります。
予定工数よりも大幅に遅れがでてしまうと、従業員に負担をかけてしまうため、リアルタイムで分析ができれば対策がすぐに取れます。
そのため、分析しやすい工数管理を望む場合は、ダッシュボード機能を搭載しており、グラフでリアルタイムの状況を確認できる工数管理ツールが良いでしょう。
分析のしやすさを優先する場合は案件・部署・人別で工数がグラフ化できるものを検討しよう。
まずは自社に合った工数管理から検討しよう
工数管理を行う方法やどれだけ詳細に管理を行うかなど、企業によってさまざまなため、自社に合った工数管理を導入しましょう。
細かすぎる工数管理では、従業員の負担になってしまうので、正確な情報を書いてもらえないことがあります。
そのため、従業員の負担にならずに工数の入力・管理がしやすい仕組みづくりを行うようにしましょう。
弊社の提供するmanage 工数では、勤怠管理システムと連携させることで、勤務時間と工数が一致しているか自動でチェックできます。
そのため、勤務時間と入力された工数を突合させて整合性をチェックする手間がゼロになります。
さらに、作業工数の入力のみで工数管理を行えるので、従業員の負担にならずに工数を入力することが可能です。
また、スマートフォンから工数管理を利用できるため、パソコンを持っていない従業員でも手軽に工数を入力できます。
実際にどのような操作感が知りたい方向けに、30日間の無料トライアルをご用意しておりますので、お悩みの際はぜひご相談ください。