公開日:2023/08/28
最終更新日:2024/06/13

勤怠管理システムの導入メリットとは?よくある失敗事例も解説

勤怠管理システムのメリット

勤怠管理システムでは、さまざまな打刻方法を利用でき、有給や残業時間もシステム上で管理できるツールです。
勤怠管理システムがあることで、残業申請と実際の時間の乖離の管理がしやすく、36協定や労働基準法などの法令遵守がしやすくなります。
しかし、導入するには会社規模が大きいと時間がかかったり、従来の勤怠ルールや就業規則を変更する必要があります。
本記事では、勤怠管理システムを導入するメリットやデメリット、よくある失敗事例について解説していきます。

 

勤怠管理システムとは?

勤怠管理システムとは、打刻機能や有給や残業時間の管理、勤怠管理の申請承認を行える製品です。
パソコン打刻やICカード打刻など、豊富な打刻機能を揃えており、打刻時の情報はすべて勤怠管理システムに登録されます。
また、有給や残業時間をシステム上で管理できるので、上長はひと目でどの従業員が有給取得をしていないのか、残業時間が多すぎるのかを確認が可能です。
勤怠関連の申請承認も、勤怠管理システム上で行えるため、勤怠管理システムがあれば非常に業務効率化が進みます。

 

さまざまな打刻方法が利用できる

  • PC打刻
  • ICカード打刻
  • 生体認証打刻
  • スマートフォン打刻

勤怠管理システムには、製品にもよりますが豊富な打刻方法が搭載されており、自社の勤務体系に合わせて選べるのが特徴です。
PC打刻やICカード打刻、タイムカード打刻は、多くの企業が取り入れており、比較的扱いやすい打刻方法となっています。
ほかには、テレワークによる勤務体系も増えてきている背景もあり、パソコンさえあれば打刻できるシステムが重宝され始めました。

また、スマートフォン打刻にGPS機能があれば、場所を問わずに勤怠管理が行えて、打刻した場所を明確に管理できるものもあります。
これは、自宅でしか業務をしてはいけない・出張先に着いたタイミングで打刻するといった、勤怠ルールが定められている企業が導入しています。
会社によって、打刻方法や勤怠ルールは異なるため、豊富な打刻方法を利用できる勤怠管理システムを利用する企業が増えてきました。

 

有給や残業時間をシステム上で管理できる

勤怠管理システムでは、従業員の有給取得率やリアルタイムでの残業時間が、システム上で確認できます。
有給は、1年間で5日分を取得する義務があるため、取得していない従業員がいた場合、管理者は個別に通知を行わなければなりません。
また、残業時間についても36協定で上限が定められており、過労働にならないようにリアルタイムの残業時間を把握する必要があります。

勤怠管理システムなら、従業員ごとの有給取得状況や残業時間がひと目で確認できます。
ほかにも、アラート機能が搭載されている勤怠管理システムであれば、規定の条件に達しそうな場合はアラートによる通知ですぐに気づけます。
従業員全体の有給取得率と残業時間をすぐに把握するのは難しいため、システムがあれば管理者や労務担当者は効率的に管理できるようになるでしょう。

 

勤怠関連の申請・承認も行える

勤怠管理システムで、勤怠関連の申請・承認ができる製品であれば、自動で勤怠状況がシステム上に反映されます
そのため、残業申請を出して実際の残業時間を手入力するといった手間を省くことができ、実際の残業時間と残業申請の時間の乖離も確認しやすくなっています。

ほかにも、休日届や有給休暇申請などの申請に関しても、勤怠管理システム上から申請することで、承認されればそのまま勤怠に反映することが可能です。
申請書を出して承認されたものの、実際の勤怠に反映してしまうのを忘れていたというミスも削減でき、正しい情報を管理できます。

 

勤怠システムを導入するメリット

時計に座るビジネスマン達

勤怠管理システムを導入することで、従業員だけでなく上長や管理者、労務担当者としても効率的に勤怠管理を行えます。
さらに、残業申請の時間と実際に残業した時間の乖離についても確認しやすく、もしズレがあった場合にはすぐに修正ができます。
他にも、36協定や労働基準法などの法令遵守がしやすい機能が搭載されており、客観的な勤怠管理を行えるのもメリットです。
ここからは、勤怠管理システムを導入するメリットについて、詳しく解説していきます。

 

勤怠管理を効率化できる

勤怠管理システムを導入することで、従業員1人ひとりの有給取得率や残業時間が可視化されるようになり、確認の手間を大幅に省けます。
さらに、決められた残業時間を超えそうな場合や、有給取得の期日が迫っているときには、システムからアラートを出せるものもあります。

従業員が多い会社だと、上長や労務担当者が従業員1人ひとりの勤怠管理をするのが難しく、残業時間や有給取得状況などの確認が漏れがちです。
しかし、勤怠管理システムを導入することにより、従業員の勤怠状況を管理しやすく、労務担当者の業務効率化も進みます。

 

残業申請と実際の残業時間の乖離を確認しやすい

勤怠管理システムには、残業申請を行えるシステムがあり、承認されることで申請時の残業時間を自動で登録できるものがあります。
そして、実際の退勤時刻と残業申請の時間に乖離がないか、システム上で比較しやすくなっており、管理者はリアルタイムで確認できます。

残業申請の時間と、実際の退勤時間に相違があった場合、サービス残業をしている可能性があるため、速やかな確認が必要です。
従業員の働きやすい環境を構築するためにも、残業申請の時間と退勤時間の乖離の確認は、非常に重要となります。

 

36協定や労働基準法などの法令遵守ができる

勤怠管理システムでは、会社によって異なる残業の上限時間などを設定することができ、自社が守らなければならない法令遵守ができるのがメリットです。
業種によって、36協定や労働基準法の上限は異なるため、会社ごとのルールに合わせて設定できるシステムであれば、法律違反をしてしまうリスクが削減されます。

導入実績が多い製品であれば、法改正が施される前に、新しい法改正に対応した機能にアップデートされるものが多いので、安心して勤怠管理ができます。
法令遵守することは、企業にとって非常に重要ですが、違反しているということは従業員の健康被害にもつながるため、正しい管理が必要です。

 

客観的な勤怠管理ができるようになる

勤怠管理システムがあれば、打刻時の情報が反映されるため、従業員による不正を防ぎ、客観的な勤怠管理が行えます。
これまで、エクセルやタイムカードといった打刻を行っていた会社では、従業員による不正が起こりやすくなっていました。
たとえば、遅刻しそうだから同僚に頼み、代わりにタイムカード打刻をしてもらった、エクセルに虚偽の時間を記入したなどが挙げられます。

しかし、勤怠管理システムでは、実際の打刻時間がシステム上に記録されるため、従業員による不正が行いにくくなります。
客観的な勤怠管理を行うことで、従業員による不正を防ぎ、職場環境の改善にもつながるため、企業として大きなメリットがあります。

 

勤怠管理システムを導入するデメリット

時計とビジネスマン達

勤怠管理システムの導入は、会社規模が大きいと導入に時間がかかるといったデメリットがあります。
さらに、従来の勤怠ルールや就業規則を変更する必要も出てくるため、導入完了までは労務担当者の労力と時間が非常にかかります。
また、これまでエクセルといったランニングコストのかからない方法で勤怠管理を行っていた企業の場合、毎月のコストが気になるでしょう。
ここからは、勤怠管理システムを導入するデメリットについて詳しく解説していきます。

 

会社規模が大きいと導入に時間がかかる

会社規模が大きい場合、従業員のID登録や就業規則、勤怠ルールなどの設定で非常に時間がかかる場合があります。
クラウド型のシステムだと、ルールに合わせて全て自社で登録する必要があり、ミスが起きないように注意しながら登録しなければなりません。
また、パソコン打刻を選んだ場合、これまでパソコンを使わずに業務を行っていた従業員には、パソコンを支給する必要も出てきます。

ほかにも、これまで勤怠管理システムを使わずに、勤怠管理を行ってきた会社だと、従業員に使い方をレクチャーするのにも時間がかかります。
会社規模が大きければ大きいほど、導入までの時間がかかることを想定し、余裕を持ったスケジュールで導入するようにしましょう。

 

従来の勤怠ルールや就業規則を変更する必要がある

勤怠管理システムでは、細かいルール設定に対応していない製品の場合、従来の勤怠ルールや就業規則の変更を行う必要があります
具体的には、勤務時間の集計が15分単位の会社の場合、それに対応した勤怠管理システムでなければなりません。

もし導入した製品が、15分単位の勤怠管理に対応していなければ、手作業での修正もしくは就業規則の変更が必要です。
ほかにも、自社のルールだと有給休暇のルールが時間単位で取得できるのに、勤怠管理システムでは1日単位でしか登録できないこともあります。
このように、勤怠管理システムによっては勤怠ルールや就業規則の変更が必要となるケースもあるため、事前に自社のルールに適用しているか確認しましょう。

 

毎月のランニングコストがかかる

初期コスト 月額コスト
クラウド型 0~40万円 300~500円/1ユーザー
オンプレミス型 20~150万円 1万円~

勤怠管理システムの導入の際には、初期コストと月額コストがかかり、クラウド型であれば毎月のランニングコストがかかってしまいます。
クラウド型の場合月額コストは300~500円/1人となっており、従業員数に合わせて割引されるケースもありますが、ランニングコストがかかる点は注意が必要です。

また、買い切りタイプのオンプレミス型だと、初期コストはかかりますが、月額コストは1万円からとなっており、これは保守費用となっています。
オンプレミス型の場合、自社でサーバー構築や保守を行うため、大企業の場合はクラウド型よりもコストを抑えて利用できる可能性があります。

現在では、ほとんどの企業がクラウドサービスを導入しており、理由としてはコストが安く利用できるためです。
しかし、オンプレミスの場合、法改正や就業規則の変更があるたびに改修費用がかかることがあります。
さらに、月額コストはサーバー代だけでなく、機材代も全部実費となり、トラブルが起きた場合には、自社で対応しなければならないので人件費もかかります。
そのため、クラウドサービスのほうがコストがかからないこともあるため、自社にとってどちらのほうが適しているのか、コスト面も加味して確認しましょう。

 

勤怠管理システムを導入する際のポイント

パズルのピースとビジネスマン

勤怠管理システムを導入する際には、自社の課題が解決できる製品なのか必ず確認しましょう。
また、導入時にはさまざまな設定が必要となるため、困った際にはサポートしてもらえるのか、製品販売者側で対応してくれるのかも確認が必要です。
ほかにも、導入前には実際に無料トライアルを活用し、どのような操作感なのか・従業員が扱いやすいのか確認することも大切となります。
せっかく導入したとしても、思ったような製品でなかった場合、余計な労力とコストが変わってしまうため、導入前の確認は必ず行いましょう。

 

自社の課題解決ができるか確認

勤怠管理システムを選ぶ際には、自社の課題解決ができる製品を選ぶ必要があるため、まずはどのような課題があるのかを洗い出します。
たとえば、従業員の有給取得率や残業時間の管理に時間がかかっているのであれば、アラート機能が搭載されているものがおすすめです。
また、残業申請や休暇申請などの申請も勤怠管理システムで行いたいのであれば、ワークフロー機能が充実しているかも確認しましょう。
勤怠管理に関する課題は、企業によって異なるため、どのような機能があれば自社の課題を解決し、より効率的に勤怠管理ができるのか検討するのが大切です。

 

導入サポートはどこまで対応しているか聞く

今まで手作業による勤怠管理を行っていたのであれば、導入する際にはどこまでサポートしてもらえるのか確認することが大切です。
初期費用にはサポート費用が入っていることがありますが、初期費用がかからないものや安いものだと、マニュアルしかもらえないことが多々あります。
設定方法がわからない・自社のルールを適用しようと思ってもうまくいかないなどの問題は、導入時にはつきものです。
導入に不安を感じるのであれば、電話によるサポートや場合によっては対面など、サポート体制がどこまで整っているか確認するようにしましょう。

 

無料トライアルを活用して実際の操作感を把握する

勤怠管理システムを選ぶ際には、複数社の製品の中から選ぶかと思いますが、できれば2~3社の製品の無料トライアルを利用することがおすすめです。
無料トライアルを活用する際には、実際に利用する従業員数名にも協力してもらい、どの製品が一番使いやすいか確認してみましょう。

勤怠管理システムの場合、利用するのは労務担当者だけでなく全従業員が使用するものなので、社内全体で使いやすい製品を選ぶ必要があります。
せっかく導入したとしても、使いにくい製品だとかえって手間になってしまうため、業務効率化を考えるのであれば、必ず無料トライアルを活用しましょう。

 

勤怠管理システムの導入でよくある失敗事例

注意喚起するビジネスマン

勤怠管理システムの導入をする際によくある失敗事例として、従業員にとって使いにくい製品だったというのは起こりがちです。
また、自社の勤務形態や打刻方法に合わない製品のため、新しく製品を選び直さなければならないということもあります。
労務担当者としての失敗事例になりますが、他のシステムと連携できないため、業務効率化があまり進まなかったということもよくあります。
実際に起こりやすい失敗事例をもとに、自社に適した勤怠管理システムを選ぶことで、満足度の高い導入が行えるでしょう。

 

従業員にとって使いやすくなかった

勤怠管理システムの操作感を詳しく確認せずに導入してしまうと、従業員にとって使いにくい製品となることがあります。
勤怠管理システムを導入することで、労務担当者としては勤怠管理がしやすくなり業務の効率化が進みます。
しかし、実際に出退勤の打刻を行う従業員にとって使いやすい製品でなければ、導入が成功したとはいえません。

たとえば、PCやWEB打刻を利用できる製品を導入した場合、営業部長や出張の多い従業員だと、あまり使い勝手はよくありません。
出張先でPCを開くのはやや時間がかかり、インターネットにつながりにくい場所だと、うまく打刻ができないこともあります。
このとき、スマートフォン打刻にも対応した製品であれば、出張先でも打刻がしやすくなり、従業員にとって使いやすい製品だといえます。
このように、社内全体で使いやすいのか、課題点があった場合には代替方法で解決できる製品なのか、しっかりと確認が必要です。

 

自社の勤務体系や打刻方法に合っていない

自社の勤務体系や打刻方法に合っていない製品で、一部手作業で管理しなければならなかったといった失敗事例は起こりがちです。
正社員や契約社員だけでなく、アルバイトや出向社員など、さまざまな勤務体系があるため、自社の勤務体系に合った製品を選ぶ必要があります。

さらに、出張時の直行直帰を許可している・夜間シフトがあるといった、勤怠ルールがある会社であれば、勤怠管理システムでも柔軟な対応が求められます。
もし、対応できないとなると、一部手作業での管理となり、勤怠管理が煩雑になってしまうので、どのような勤務体系でも柔軟に対応できることが望ましいです。

 

ほかのシステムとの連携できない

勤怠管理システムと連携できるシステム例

  • 給与管理システム
  • 人事管理システム
  • 工数管理システム
  • 入退室管理システム
  • 会計システム

ほかのシステムとの連携ができずに、思ったように業務効率化を進められなかったという問題は起きがちです。
勤怠管理システムだと、給与にもかかわってくるのでシステム連携ができれば、手作業での転記作業は不要となります。
さらに、人事管理システムとの連携ができれば、勤務状況が可視化しやすくなるので、従業員を正しく評価しやすくなるのが魅力です。

しかし、ほかのシステムとの連携ができなければ、労務担当者の手間が発生してしまい、管理だけで手一杯となります。
DX化を進めて業務全体の効率化を考えるのであれば、ほかのシステムとの連携ができるのかどうか、事前に確認することが大切です。

 

勤怠管理システムを導入して業務効率化を進めよう

勤怠管理システムを導入することで、申請者や労務担当者、管理者は効率的に勤怠管理を行えるようになり、法令違反をすることはありません。
残業申請の時間と実際の残業時間の乖離もひと目で確認でき、有給消化率や残業時間の上限が近づいているときにはアラートにて状況を把握できます。
従業員の手入力にて勤怠管理をするのでは、客観的な勤怠管理ができれば、不正打刻の防止やサービス残業の防止につながります。

弊社の提供するmanage 勤怠では、出退勤管理から勤怠関連の申請・承認作業も行える、多機能のシステムとして販売しております。
細かい機能としては、設定している就業規則・勤怠ルールに合わせて、有給消化率や残業時間の上限が近づくとアラートを出す機能も搭載しています。
ほかにも、残業申請書に記載されている時間と実際の残業時間の乖離についても、ひと目で確認できるような画面となっているのが特徴です。
無料トライアルや資料のご用意を行っていますので、お悩みの際はお気軽にご相談ください。

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柏倉優

Webマーケティングの経験を経て、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。 記事の企画・執筆・デザイン・アクセス解析まで幅広く担当。 皆さんに「それが知りたかった!」と思ってもらえるような情報を提供できるよう、日々勉強しています。

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監修者

近藤敏春

会計事務所系コンサルティングファームにてクライアントの情報システム構築・導入を多数経験。2004年COEL入社後も、基幹系・管理系のシステム導入プロジェクトにPMとして従事。2023年12月より経営管理部長。
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執筆者

柏倉優

資格:Webライティング能力検定 1級
クラウドシステムやソフトウェアの記事作成を中心としてライター歴7年・編集長歴5年の経験を積んだ後、2021年6月に株式会社COELへ入社。
現在はmanageブログの編集長として、人事・総務・経理の業務を効率化するためのお役立ち情報を発信しています。