勤怠管理とは?必要とされる理由や効率化に便利な勤怠管理システムの選び方や注意点を解説
十数人程度の小規模な企業なら、手作業での勤怠管理も十分可能です。
しかし、企業の成長とともに従業員の人数が増えれば、業務の効率化を検討する必要が出てきます。
この記事では、勤怠管理に関係する経理や総務、情報システム部の実務責任者に向けて、勤怠管理の概要や必要性、効率化の方法、管理システムの選び方などを解説します。
目次
勤怠管理の意味と管理方法
勤怠管理とは、具体的に何を管理するためのものなのか、管理方法にはどういった種類があるのかを解説します。
勤怠管理とは何か
勤怠管理とは、すべての従業員を対象に労働時間や時間外労働などを把握し、なおかつ、管理者による適正な管理を行うことを意味します。
具体的な業務として、出退勤の時刻や休日の取得状況、欠勤の頻度、残業時間などが挙げられます。勤怠管理は、正確な給与計算をするためだけでなく、従業員の心身の健康を守るうえでも欠かせません。
一般的な管理方法は3種類
勤怠管理の方法として、主に以下の3種類があります。それぞれの特徴について解説します。
1.エクセル(Excel)
エクセル(Excel)の関数を活用すれば、勤怠管理の自動計算が可能な表を簡単に作成できます。出退勤や休憩時間などの入力によって自動計算されるため、手計算の手間を省けます。また、自社の勤務形態にあわせた表を作成することも簡単にできます。
2.タイムカード
タイムカードは従来から広く活用されている管理方法の1つです。打刻専用のタイムレコーダーに紙のシートを指し込むと、出退勤が打刻されます。シンプルな操作で利用できるため、従業員への教育も短時間で済ませられます。
3.クラウドサービス
クラウドサービスはインストールなどの手間がいらず、オンライン上で手軽に利用できるため、タイムカードから切り替える企業が増えています。従業員が打刻すると同時に、勤怠データはシステム上に転送される仕組みになっています。既存システムと連携すれば、給与計算や人事管理などの一元化も可能です。
勤怠管理が必要とされる理由
企業で勤怠管理を実施しなければならない理由について解説します。
従業員の過重労働を防止するため
企業は、従業員の心身の健康を守る必要があります。従業員の過重労働に気づけなければ、体調不良などによる退職や休職に追い込んでしまうかもしれません。
適切に勤怠管理を行うことで、日・週・月単位で従業員の就業状況を把握できます。そのため、長時間労働や連続勤務が続く従業員がいないか、十分な休日がとれているかなどの確認を迅速に行えます。
コンプライアンスを遵守するため
企業は社会の一員として、コンプライアンスを遵守する義務があります。
コンプライアンスに違反すれば、ブラック企業などの悪評がSNSなどで拡散されたり、従業員や退職者から訴訟を起こされたりするリスクが高まります。一方で、従業員の労働時間を適切に管理できていれば、コンプライアンスを守る会社として信頼性を高めることも可能です。
勤怠管理に欠かせない管理項目
勤怠管理を適切に行うためには、以下で解説する3つの管理項目を把握しておく必要があります。
対象となる従業員
労働基準法第41条では、勤怠管理の対象者を「みなし労働時間制が適用される労働者を除いたすべての労働者」と、定めています。みなし労働時間制とは、所定の労働時間より短くなった場合でも「働いた」とみなす制度のことです。
一方、労働安全衛生法では、みなし労働時間制が適用される労働者や、勤怠管理の責任者である管理監督者も対象となっています。
対象となる事業所
厚生労働省のガイドラインでは、労働時間にかかわる規定が適用されるすべての事業所が対象になると示しています。そのため、従業員を雇用しているすべての事業者は、勤怠管理が必要です。
ただし、農業や水産業などは、勤務状況が天候によって左右されるため、勤怠管理の対象から外されています。
※参考:労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
管理事項
勤怠管理を適切に行うためには、以下の管理項目がポイントになります。
- 業務の始業開始や終業時間、休憩時間、労働時間は、1分単位で管理する
- 所定労働時間を超える時間外労働や深夜労働、休日労働などの時間を把握し、適正な割増率で給与を計算する
- 1カ月単位で、出勤日や休日出勤日、欠勤日を把握し、適宜指導やシフト調整を行う
- 有給の取得日数や残日数を管理する
システムの導入で勤怠管理を効率化できる
勤怠管理を効率的に行うためには、管理システムの導入がおすすめです。勤怠管理システムでは、従業員が打刻した勤怠データをリアルタイムで確認できます。また、自動集計されるため、手計算の手間を省けます。さらに、不正打刻やデータの改ざんの防止も可能です。
以下で、勤怠管理システムの3種類の特徴を解説します。
タイムレコーダー
タイムレコーダーは、ICカードや指紋認証などによる打刻ができ、勤怠データをパソコン上で管理できます。ただし、従業員の人数や営業所の数によって、専用の機器をそろえる必要があり、導入コストが高くなる場合があります。
オンプレミス
オンプレミスは、自社の専用サーバー内に構築した勤怠管理システムで管理する方法です。自社にあったシステムを一から構築する必要があるため、膨大な時間や開発費、導入コスト、メンテナンス費用などがかかります。
クラウド
クラウドは、サービス提供会社が管理するサーバー上で利用できる勤怠管理サービスです。オンライン上で勤怠管理ができるため、インストールなどの手間がかかりません。ただし、サイバー攻撃などのセキュリティリスクへの対策が必要です。サービスを選ぶ際は、セキュリティ機能が充実しているサービスかどうかの検討も行いましょう。
勤怠管理システムを導入するメリット・デメリット
勤怠管理システムのメリットやデメリットを把握しておけば、自社にあったシステムを選ぶ際の参考にできます。以下では、メリットとデメリットをくわしく解説します。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムを導入するメリットは、効率よく勤怠管理が行えることだけではありません。
法令を遵守した管理が行える
勤怠管理システムでは、リアルタイムで従業員の就業状況を把握できるため、必要に応じてシフトを調整する、業務の負担を減らすなどの対策を講じやすくなります。
また、法改正などにも迅速に対応できるため、法令遵守を前提とした管理を行えます。残業時間を超過した場合に、アラームで知らせてくれる機能などを持つシステムもあります。自社にあわせて選択しましょう。
関連業務の負担を軽減できる
勤怠管理システムのなかには、既存システムや外部サービスとの連携機能が搭載されているものもあります。人事や経理、総務などの管理システムや利用中のサービスと連携させれば、これらの一元管理が行えます。
たとえば勤怠データの自動集計後には、給与の自動計算が可能です。紙のタイムカードから乗り換えれば、タイムカードの保管や廃棄の手間を減らせます。
不正を防止できる
タイムカードへの打刻やExcelで作成した表への手入力で勤怠管理を行う場合、打刻や改ざんのリスクが高まります。その点、勤怠管理システムであれば、打刻と同時に勤怠データがシステム上に送信されるため、不正打刻を未然に防げます。
また、勤怠データの修正を行った場合、システム上に履歴が記録されるため、手入力による改ざんの防止も可能です。
勤怠管理システムを導入した場合のデメリット
システムを導入するデメリットを把握したうえで、導入を検討する判断材料にしましょう。
導入費用がかかる
システムを導入する際、初期費用や月額利用料などのコストが発生します。また、自社にあったシステムを一から構築する場合は、導入コストだけでなく、膨大な開発コストがかかります。十分な予算を割けなければ、システムを導入した効果も見込めないでしょう。
自社の勤務形態にあうシステムがみつからない
複雑な勤務形態をもつ企業では、十分な機能を搭載するシステムがみつからない可能性があります。機能のカスタマイズが可能でも、追加費用が必要になるケースも多いです。自社の管理方法にあわないシステムを導入してしまうと、かえって管理者の負担を増やすことになります。
勤怠管理システム選びの重要なポイント
自社にあった勤怠管理システムを選ぶためには、以下の3つのポイントを重視しましょう。
自社の勤務形態にあわせられる
システム選びのポイントは、多機能かどうかではなく、自社の勤務形態にあわせられる機能が搭載されているかどうかです。機能の追加が可能なシステムであることはもちろん、カスタマイズできる範囲も確認しておきましょう。
初期費用やランニングコストが妥当な価格である
自社の勤務形態にあわせられるシステムであっても、操作性や利用する機能と導入コストとのバランスがとれているものを選ぶことが大切です。
なかにはユーザー数によって利用料金が高くなるケースもあるため、料金プランの制限範囲などの確認も必要です。無料トライアルを利用する際は、期間中に支払う金額が妥当かどうかも見極めましょう。
セキュリティ機能やサポート面が充実している
勤怠管理では、多くの個人情報やデータを扱うため、セキュリティリスクにも十分に注意しなければなりません。とくに、クラウドサービスはセキュリティリスクが高い傾向にあるため、セキュリティ対策が充実しているものを選ぶ必要があります。
また、丁寧なサポート体制やアフターフォローがあるシステムかどうかも重要なポイントです。
勤怠管理システムを選ぶ際の注意点
勤怠管理システムを絞り込む際、以下の注意点も考慮しましょう。
操作性が高いシステムを選ぶ
従業員が始業・終業時刻や労働時間などを容易に確認できる、操作性の高いシステムを選ぶことが重要です。確認操作が複雑な場合、従業員が正しく理解できず、管理者がたびたび説明をするなど、かえって手間が増える可能性があります。
外部サービスとの連携が可能かどうかを確認する
勤怠管理のほかにも一元管理をしたい業務がある場合は、既存システムや外部サービスとの連携機能の有無を確認しましょう。もしも連携ができなければ、データの移行や手入力などの手間が増え、業務の効率化を図れなくなります。
まとめ
勤怠管理システムの導入により、業務の効率化や不正の防止などのメリットが得られます。ただし、自社にあったシステムを選ばなければ、かえって非効率になることもあります。システム選びで悩んだ場合は、一元管理ができるシステムを選びましょう。
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