- 出張時に定期区間も含めた交通費の申請をした
- 新幹線の切符代を申請して実際には別の交通機関を使った
- 通勤時の定期代を受給して会社には自転車で通っている
- 実家からの通勤として会社近くに引っ越したのを報告していない
経費精算の不正は未然に防げる!実際に起こる事例5つと対処法を解説
経費精算は、従業員からの申告をもとに経理担当者が処理を行うものですが、稀に不正申請を行って私的に利益を得ようとする人がいます。
余計な出費による経営問題に発展する可能性があるため、早めに対策しなければなりません。
ただ、経費精算の不正といっても、通勤手当や備品・消耗品の購入時・領収書改ざんといったさまざまなものがあります。
本記事では、経費精算のよくある不正と対策、対処法まで詳しく解説していきます。
目次
経費精算の不正とは?
経費精算の不正とは、通勤手当や備品・消耗品の購入時など、業務で必要となる出費を、従業員が水増しして差額を得ようと利用・申請することです。
具体的には、交通費を高いルートで申請し、実際には安いルートで購入することで、差額を自分のものにするケースがあります。
不正だとわかって申請している場合、会社は金額の返還請求や場合によっては「民法704条の悪意の受益者の返還義務等」にて利息付きの返還請求が可能です。
ただし、故意ではなく申請時に金額を間違えてしまったミスの可能性もあるため、しっかりと調査しなければなりません。
なぜ経費精算の不正が起こるのか
経費精算の不正が起こる理由には、故意によるものと申請ミスによるものがあります。
通勤手当の不正では、経理担当者がしっかりとチェックできていれば防げることもありますが、全ての申請を厳密にチェックするのは現実的ではないでしょう。
そのため、故意ではなく入力ミスによる申請をしてしまったケースでも、そのまま受理されてしまうことは珍しくありません。
また、故意に経費精算の不正を行うケースもあり、何かを購入した際に、領収書だけを提出すればいいといったルールだと起こりやすくなっています。
経費申請に対する社内ルールが簡易的なものの場合、経費精算の不正が起こりやすくなりますので、不正できない管理体制にすることが大切です。
故意ではなく申請ミスの可能性もある
経費精算の不正では、従業員の申請ミスがそのまま承認されてしまったことにより、不正申請になるケースもあります。
これは、交通費申請をまとめて月末に行おうとした結果、処理する数が多くて入力ミスに気づいていないなどです。
手書きやパソコンで入力する場合、金額ミスや計上する日付の書き間違いが起きやすく、経理担当も見逃しやすくなっています。
故意ではない場合、厳罰といった重い処罰をしてしまうことは会社にとってリスクになるため、まずは原因をしっかり調査しましょう。
通勤手当でよくある不正行為
出張時の交通費に、定期区間を含めてしまったというケースは多々あり、故意・過失にかかわらずよく起きがちです。
これは、出張の多い従業員に起こりがちで、多忙により細かい点まで目がいかずに、通勤区間も含めて交通費申請しているケースがあります。
また、受け取った金額の内訳まで気にしていないとなると、不正受給していることに気づいていない従業員もいます。
ただし、新幹線代を申請しつつも、別の交通機関を使用して浮いた差額を不正受給しているケースも珍しくありません。
不正受給が横行してしまうと、企業としては余計な出費となり、経営問題にも発展するため、正しく交通費を管理できる体制を構築しなければなりません。
【対策】交通系ICカードの履歴を提出してもらう
交通系ICカードを使って電車やバスを利用してもらうことで、履歴による確認ができるため、正しい交通費を把握できます。
さらに、履歴と相違があると経理担当者も気づきやすいため、故意による不正申請はできません。
また、交通系ICカードの履歴を読み込める経費精算システムを導入することで、履歴の読み込みを自動で行えます。
申請者は、手作業で交通費を打ち込む必要がなくなり、経理担当者のチェック作業も簡略化できます。
備品・消耗品の購入でよくある不正行為
- 業務に使う備品と一緒に私物も購入する
- 会社から支給されているスマートフォンを私用で使う
備品・消耗品は、購入した品物の名前と用途まで提出してもらわなければ、私的な買い物まで経費申請されることがあります。
あくまでも業務に必要なものの購入でなければ経費精算はできないため、従業員の個人利用のものだと不正となります。
具体的には、会社の備品としてではなく自分用として文具を買ったのにもかかわらず、経費として申請してしまうのは不正申請です。
備品を・消耗品の購入は価格もそこまで大きくない場合には上長からの許可を不要としていることもあるので注意しなければなりません。
【対策】レシートや領収書の提出を義務化する
備品・消耗品を購入する際には、必ずレシートや領収書をもらっているはずなので、提出を義務化するようにしましょう。
できればレシートのほうが品物名も書かれており、何を買ったのかが明確になるため、不正申請がしにくくなっています。
また、日付も書かれているものであれば、業務時間外のプライベートで購入したものかどうかもわかります。
このように、プライベートで買ったのか業務に必要なため買ったのかがわかるようにルール化することが大切です。
領収書改ざんでよくある不正行為
- 領収書の金額に数字を書き足して申請する
- 領収書の紙だけをもらい、自身で記入して水増し申請する
領収書改ざんでは、すでに書かれている金額に数字を書き足し、経費申請を水増しして請求されてしまうことがあります。
また、日付・金額を書かない領収書をもらい、後日支払った金額よりも多い額を記載して不正申請するという手口も存在します。
領収書の改ざんは、記載ミスといった過失ではなく、完全に悪意を持ったものとなりますが、不正かどうかを見分けるのは難しいでしょう。
飲食店や通常のお店の場合、領収書を出す際には金額を書くことが義務付けられていますが、従業員が取引先と共謀して不正に書き換えることもあります。
【対策】クレジットカードの履歴と照らし合わせる
領収書をみたとしても不正かどうかが分かりづらいため、支払いを会社のクレジットカードで統一する方法があります。
クレジットカードであれば、不正に改ざんはできないため、領収書の提出よりも未然に不正を防げるようになります。
ただし、従業員にクレジットカードを渡すことになるため、役職者にだけ渡すなどのルール化が必要です。
接待交際費でよくある不正行為
- プライベートの飲食を接待交際費として申請する
- 社内打ち合わせを社外と偽って申請する
接待交際費は、取引先との接待で発生した費用のことですが、プライベートの飲食を経費として申請することがあります。
また、社内の打ち合わせで発生した飲食費を無断で接待交際費として計上するケースもあり、どちらも不正行為です。
経理担当者は、毎月多くの経費精算を行っていくので、細かい点まで確認できずに、接待交際費の不正に気づきにくくなっています。
【対策】接待があるなら事前に申請してもらう
接待交際費が発生するのは、前もって把握できているはずなので、事前に申請してもらうようにしましょう。
申請時には、どの企業の誰となんの目的で接待交際費が発生するのかを確認し、承認されれば申請できるようにしましょう。
また、接待で使うお店が決まっているのであれば、本人が支払うのではなく会社が支払うといった方法を取ることも可能です。
この方法であれば、プライベートの領収書は紛れ込ますのが難しくなるため、不正申請を未然に防げるでしょう。
不正が発覚した際の対処法
経費精算の不正が発覚した際には、必ず何故起きてしまったのかを入念に調査し、故意か過失なのかを判断しましょう。
悪質だと決めつけて法的な手段や懲戒解雇を起こしてしまうと、企業としてはリスクが発生します。
具体的には、過失なのに重い厳罰は不当な対応だと提訴されることもあるので、従業員と協議を行い、双方の理解が得られたうえで対応することが大切です。
また、悪意があるなしにかかわらず、「民法703条の不当利益の返還義務」に則り、会社は過剰に支払った金額の返還請求を行えます。
さらに、不正受給だと知りながら行っていたのであれば、「民法704条の悪意の受益者の返還義務等」にて利息付きの返還請求も可能です。
長期的に不正受給し、高額となっているのであれば、返還請求以外にも重い罰を科すことも可能で、減給や停職、懲戒解雇なども行えます。
経費精算システムなら不正を防げる
経費精算システムには、交通系ICカードと連携して交通費精算を自動化できるものがあります。
また、AI-OCRが搭載されていれば、レシートを撮影するだけで必要な情報が自動でシステムに転記されます。
過去の申請に記載されている金額と照らし合わせることで、申請ミスを起こしていないかといったチェックも可能です。
このように、システム化することで経費申請の不正を起こしにくくできるため、対策として導入するのもおすすめです。
交通系ICカードの読み込みで交通費精算を自動化
交通費ICカードを読み込めるカードリーダーを導入し、経費精算システムと連携させることで、タッチするだけでクラウド上にデータが保存されるようになります。
さらに、定期区間の費用は自動で削除されるため、定期区間と出張で利用した乗車区間を二重で交通費申請されることはありません。
交通費申請の金額を入力することがなくなりますので、金額のミスが発生せず、経理担当者もわざわざ交通区間や費用を検索して確認する必要がなくなります。
交通費精算書を自動化することで、不正申請が起きないだけでなく、経理担当者の負担軽減にもつながります。
AI-OCRを活用してレシートからデータを転記
AI-OCRを活用することで、レシートの写真を撮る・PDFを読み込ませるだけでデータを自動で転記できるようになるため、データ入力の手間を削減できます。
レシートや領収書を提出するとなると、経理担当者は紙とデータを照らし合わせて確認となるので時間がかかります。
さらに、レシートの数が多いと紛失や確認漏れが起きる可能性もあるため、データ化できればリスク軽減にもつながります。
、AI-OCRを活用できれば、レシートのデータを電子化でき管理だけでなく確認作業も簡易化が可能です。
過去の申請と自動で照らし合わせて相違が無いか確認
定期的に発生する経費であれば、過去のデータと照らし合わせて相違がないかチェックすることで、不正に気づきやすくなります。
経費精算システムでは、過去の申請データを検索しやすくなっているため、紙よりもデータチェックが容易にできます。
過去の申請よりも金額が著しく大きくなっている場合、申請ミスもしくは不正の可能性があるため、従業員へ確認して正しいのかどうかも確認が可能です。
不正を未然に防ぐためには、確認しやすい環境を作ることも重要なため、経費精算システムを導入してみてはいかがでしょうか。
経費申請はシステム化して不正が起きない工夫をしよう
経費精算の不正が起きてしまうと、経営の悪化や組織内の環境の悪化、脱税と判断されて罰則を科せられる可能性があります。
領収書の改ざんといった悪意のある不正は経理担当者でも見抜きにくいのが現状のため、不正を起こさせないような仕組みが必要です。
また、従業員のうっかりミスにより不正が起きてしまい、経理担当者も見逃してしまうことがあります。
そのため、会社としては、不正を起こせないようなルール作りを行い、場合によってはシステム化も検討するのがおすすめです。
弊社の提供するmanage 経費では、交通費申請をICカードの情報をもとに行える機能やAI-OCRを使ったレシートの読み取り機能などを搭載しています。
不正が起きにくいだけでなく、経理担当者の負担を軽減できる機能となっているので、毎月のチェック作業を大幅に削減が可能です。
さらに、申請内容をもとに、自動で仕訳データも作成可能で、会計ソフトと連携させれば、転記作業時の入力ミスも防げます。
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