予算と見込みの立て方は?初心者でもすぐできる予算管理の方法と注意点
企業経営において、予算と 予測(見込み) を立てることで、目標達成のためにより適切な施策を考えることができます。しかし、はじめての予算や予測を考える際には、どのように立てれば良いのか、注意点などはあるのかなど悩んでいる担当者も多いでしょう。 そこで、この記事では予算と予測の違いやそれぞれの立て方、注意点などを紹介します。予算と予測を立て、スムーズな企業経営を行うために、ぜひ参考にしてください。
目次
企業経営における予算とは?
予算とは、あらかじめ計画を立てた数値のことです。企業経営においては、様々な指標を扱いますが、主に売上予算や原価予算、経費予算、利益予算などがあり、それらを指標とし予算管理を行っていきます。 予算管理とは、経営管理のひとつであり、言葉の通り企業が達成する必要のある目標を管理することを指します。予算と予測は似ている言葉ではありますが、意味合いが違います。どのような違いがあるのか下記で解説します。
予算と予測(見込み)の違いとは?
予算は「目標」であり、予測は「見込み」のことです。予算を立て、予測もあわせて行うことが重要です。一般的に予測は予算を設定した後に立てます。目標と見込みのずれについて把握し、柔軟に行動を変えることが求められます。
予算とは
予算は主に会計期間前に立てられる「目標」を指すことが多いです。予算としては、売上予算、原価予算、経費予算、利益予算などがあります。それぞれに過去の数字の分析や、今後の経営方針・事業計画などに基づいて、将来的な目標値を設定します。
予測(見込み)とは
予測はこうなるだろうという「見込み」であり、途中経過の実績数値(業績) を把握した上で立てるものを言います。 例えば、「年間で売上を〇〇%アップさせたい」という目標(予算)のもと、半年経過時点での実績を把握した上で残りの6ヵ月の売上見通し(予測)を立て、目標達成に向けた具体的な計画や施策を練っていきます。 つまり、予算は目標であり、「こうなりたい」という位置付けであるのに対して、予測は「こうなるだろう」という見込みを意味します。
予算管理を正確に行うための手順
予算管理を行う時によく使われるのが以下の「PDCA」です。
- (Plan)予算編成
- (Do)業務の実施
- (Check)予算差異検証
- (Action)改善行動
上記の頭文字をとり、PDCAと言われています。まず、(Plan)の予算編成では予算をたて、(Do)で業務の実施を行います。そして、(Check)で予算と結果を照らし合わせるなどの検証を実施します。最後に、検証結果をもとに(Action)で改善を行い、予算目標達成を目指します。
予算と予測を立てるメリット
予算と予測を立てるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。以下で解説していきます。
全社で目標を共有しやすくなる
予算と予測を立て、部門ごとの数値目標を明確にしておくことで、社内全体で共有することが容易になります。月ごとの目標が具体的に見えることで、現実的な数字目標を目指しやすくなります。 コスト削減などは一人ではなく、会社全体が行うことで効果が現れるので、呼びかけがしやすくなるのもメリットです。また、目標を数値化することで、目標達成のためにすべきことも明確になり、行動がしやすくなります。
計画と実績を比較して分析できる
予算と予測を立てておくことで、実績と比較して分析することができます。計画通り実行できていなければ、分析結果をもとに早い段階での改善も可能です。商品やサービスによっては、市場の動向や為替変動などで大きく変化するものもあります。 計画と実績を比較することですぐに異変に気づき、改善できるのは大きなメリットでしょう。早い段階で分析をし、改善行動が早めにできることで無駄な行動を減らし、リソースの節約にもつながるでしょう。
予算と予測を立てる際に必要な4つの指標
予算と予測を立てる際に必要な指標がいくつかあります。以下ではその指標を大きく4つに分けて解説をしていきます。
1.利益予算
利益予算とは、期中に達成する必要のある利益目標のことを指します。利益を出すことは企業の最大の目的と言えます。利益予算は、売上から経費などを差し引いて算出します。売上高が悪かったとしても、利益率が高い場合は経営としては問題がないと考えられます。 利益予算は、前期分の変動損益計算書を活用し、自社にとって必要な利益を生み出す計画を立てていきます。
2.売上予算
売上予算とは、期中に達成する必要のある売上目標のことを言います。一般的に売上目標は過去の売上の実績を超えるのが理想的であるために、前年までの数字をもとにより高い目標を立てることを前提として決定されます。市場動向の変化など対外的な影響を受けやすいために、柔軟な調整が必要です。
3.原価予算
原価予算とは、仕入れやサービスを提供する際に発生する費用など、あらゆる原価の目標値のこと を言います。売上にあわせて、仕入れ数などが変動するために、定期的な調整が必要な指標です。例えば、製造業の場合は、売上予算を達成するためには、その分だけ商品を製造しなければなりません。つまり、製造する商品の数によって、原価予算は変動するということです。
4.経費予算
経費予算とは、原価以外での支出に関する予算です。人件費や交通費など、企業活動において必要な費用の見積もりを指します。経費予算には、働くオフィスの賃料や光熱費、広告、リサーチ費用なども入ります。利益に大きく関係する費用であるため、長期的な目線で予算を立てる意識が必要です。外的要因を受けることがほとんどないことから、予算と実績の比較・分析がしやすいのが特徴です。
予算と予測の立て方
予算と予測の立て方には、「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」の2つがあります。以下でそれぞれを解説します。
【小規模企業向け】トップダウン方式
トップダウン方式とは、経営陣が予算目標を立てて、部門ごとに分配をする方式を言います。予算が決まるまでにスピード感があり、柔軟に調整できる点がメリットです。しかし、トップが決めてしまうので、現場の声が反映されづらく、会社全体として押し付けられた感が出てしまい、モチベーションが上がりづらいというデメリットもあります。
【大規模企業向け】ボトムアップ方式
ボトムアップ方式とは、現場からの声で、企業全体の予算を決める方式を言います。各部門の声も反映されるため、現実的な数字になり、現場としても納得しやすく、モチベーション低下を避けられるのがメリットです。デメリットとしては、トップダウン方式よりも、予算を作るまでに時間がかかることです。
予算を立てる際の大まかな流れ
予算の立て方には、トップダウン方式とボトムアップ方式がありますが、最もおすすめなのは両方組み合わせて予算を立てることです。予算を立てる際の大まかな流れは以下のようになります。
- 経営陣が予算目標を明確化する
- 経営陣が決めた予算をもとに部門ごとで決定する
- 各部門の予算を集計して全体的な調整をかける
経営陣だけでは決めずに、部門ごとでも決めることで、現実的な数字目標になります。ただ、現実的な数値に偏りすぎていて、経営的に赤字となってしまっては本末転倒であるため、最終的に調整をかけるのは経営陣であるのが望ましいです。
予算と予測を立てる際の注意点
予算と予測を立てる際の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で解説をしていきます。
曖昧な数値は設定しないようにする
数値を設定する際には、曖昧ではなく、具体的な数値に落とし込むようにしましょう。また「なぜこの予算目標なのか?」の根拠を明確にすることも大切です。具体的な目標で、理由も明確であれば、アクションを起こしやすくなります。 具体的な数値を出すためには、来期実行が決まっているプロジェクトに対して、目測で数値を出すのではなく、見積もりや相場を事前に調べておくことで、大幅なズレが出づらくなります。
高すぎる目標は設定しないようにする
高すぎる目標は、社員のモチベーションを下げてしまう原因になる可能性があります。とくにトップダウン方式のみで予算決定する場合は注意が必要です。現場のやる気が失われてしまっては本末転倒です。経営陣の机上の空論だけで決めるのではなく、現場からの声を汲み上げ、確認しつつ目標を決めるようにしましょう。
細かすぎる予算目標は立てないようにする
予算計画を立てた後は、各目標を管理していかなければなりません。よって目標が細かすぎると管理にリソースを多く取られてしまいます。人事の予算を例に挙げると、現場で人件費の詳細について、給与の他に厚生年金、健康保険、労災、労働保険などと細かく分けてしまうと管理部門からは人件費全体を見るのが難しくなってしまいます。 日単位、週単位、月単位、4半期単位なのかも細かすぎると部門によってはわかりづらくなってしまうので気をつけましょう。管理部門にもわかりやすい粒度で設定することが大切です。
予算管理を効率的に行う方法
予算と予測を立てた後は、それらを適切に管理する必要があります。一般的な方法としてエクセルを利用し管理する方法がありますが、慣れていない場合、手間がかかる可能性があります。その際には、予実管理システムなどを使うことで、効率的に管理が可能です。
予実管理システムであれば、予算に関係している数字をリアルタイムで確認できるため、市場の変化などにより調整が必要な場合にもすぐに対応が可能です。また、経費精算や勤怠管理システムなどを追加で導入できるサービスであれば、自社の業務をより効率化することができます。
まとめ
予算と予測の違いや予算管理を行うための手順などについて解説をしました。予算と予測を立てる際には、経営層の考えだけでなく実際の現場の声を汲み上げて、前期よりも高い目標でありつつも、社員のモチベーションが下がらないようにバランス感覚を意識することが大切です。 時間と労力をかけてつくった計画を効率よく活用するために予実管理システムの利用なども念頭に入れておくとよいでしょう。
manageの予実管理アプリは、従来の使い慣れたエクセルをそのまま取り込むことができます。 取り込んだ後、予算編成が自動集計されますので、即座に全体の予算や部門別の予算を確認することが可能です。 また、経費精算・勤怠管理・ワークフローなどの業務アプリを費用に応じて追加できますので、複数の業務システムを導入する必要がありません。 30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ManageOZO3編集部
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