公開日:2021/08/23
最終更新日:2024/06/13

電子帳簿保存法とは?経費精算業務における領収書の電子化について解説

経費精算における電子帳簿保存法のポイントバックオフィス業務を効率化させるために、ペーパーレス化を進めている企業が増えてきていますが、領収書は未だに紙のままで管理している企業が多いかと思います。
今回の記事では、領収書を電子化させて経費精算業務を効率化させたい方向けに、メリットや注意点を解説します。領収書を電子化させるために重要な「電子帳簿保存法」についてもわかりやすく解説しておりますので、経費精算業務の効率化のためにぜひご参考ください。

 

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、国税に関連する帳簿や、領収書、請求書などの証憑類の電子データによる保存について定められた法律です。たとえば、電磁的、電子計算機出力マイクロフィルム(COM)、スキャナによる電子データの保存が認められています。
電子帳簿保存法は定期的に見直されているため、改正の度に内容を確認しておく必要があります。

 

2015年の改正:スキャナ保存の要件緩和

2015年の改正では、スキャナ保存の要件が緩和されることになりました。具体的には、スキャナ保存時の電子署名や、業務処理サイクル方式の採用時に必要な国税関連の帳簿において、電磁的記録等による保存制度の承認をもらわなくても保存が可能になりました。
ただし、新たに適正事務処理要件を満たす項目が追加されています。

 

2016年の改正:スマホを使った電子化保存

2015年の改正時は、スキャナによる電子化のみが認められていました。
しかし、2016年の改正では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した領収書の電子化保存が可能になりました。A4サイズ以下の領収書へのサイズ情報の記載が不要になったのも2016年の改正以降からです。

 

電子化できる書類の種類一覧

電子帳簿保存法によって電子化が認められている書類と分類を一覧表にまとめました。以下の表を参考にしてください。

電子保存が可能な書類 分類
・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛金・買掛金元帳固定資産台帳
・売上・仕入帳など
国税関係帳簿
・棚卸表
・貸借対照表
・損益計算書
・その他決算に関して作成した書類
国税関係書類(決算関係書類)
・領収書原本及び写し
・契約書原本及び写し
・請求書
・納品書など
国税関係書類(その他の証憑類)
・見積書
・注文書など
一般書類

なお、その他の証憑類はスキャナ保存できますが、それ以外の書類は電子保存のみの対応になるため間違えないように注意しなければいけません。

 

領収書を電子化するメリットを解説

領収書を電子化するメリット

領収書を電子化すると、どのようなメリットを得られるのか、以下で解説します。

 

データを紛失するリスクが低い

紙で保管した場合は紛失する可能性がありますが、電子データならそうした心配はいりません。
電子保存したデータのバックアップをとっておくことで、データを紛失するリスクがなくなるため、長期間のデータ保存が可能です。電子データであれば社内のパソコンだけでなく、クラウドストレージなどへ保存できます。クラウド保存は、パソコンの故障や誤操作によるデータ削除などのリスクにも対策できるのがポイントです。

 

コスト削減につながる

領収書を電子化できれば、ペーパーレス化にもつながりますので、書類を保管する手間がなくなり、人的なコストも減らせます。
その他、書類を保管するスペースの確保や管理の必要がなくなり、オフィスの縮小化も可能です。これにより、オフィスの賃貸料に関連するコストも安く抑えられます。

 

電子帳簿保存法に対応するための注意点とは

電子帳簿保存法に対応するためには、以下の注意点に気をつける必要があります。それぞれの注意点を解説します。

 

事前に税務署へ申請が必要

電子帳簿保存法で認められている書類を電子化するためには、税務署へ事前に申請書を提出しておかなければなりません。税務署から承認を得ておかなければ、電子化できないため注意が必要です。
また、申請すれば必ず承認されるわけではないため、電子化を決めたら早めに手続きを済ませておきましょう。

 

タイムスタンプがいる

タイムスタンプとは、書類を電子化した時刻を記録し、改変を防ぐためのものです。原則として、電子データにはタイムスタンプによる電子署名の付与が定められています。
ただし、2020年の改正によって、タイムスタンプの付与は発行者側のみとなりました。また、電子データを改変できない専用のシステムを利用している場合はタイムスタンプが不要です。

 

すぐに書類を破棄できるわけではない

領収書などを電子データに置き換えても、すぐに紙を破棄できるわけではありません。税理士などの第三者によって電子データの改変が行われていないことを確認してから、破棄が可能になります。
自社で電子データを確認しても勝手に処分できないため、一定期間は電子データと原本のどちらも保管する必要があります。

 

電子帳簿保存法を導入するためのステップ

電子帳簿保存法の導入手順
ここからは、電子帳簿保存法を導入するための方法をわかりやすく解説します。

 

電子帳簿保存法に対応させる書類の検討

まずは、どの書類を電子帳簿保存法に対応させるか検討しましょう。たとえば、電子帳簿保存法に対応する目的が経費精算業務の効率化であれば、領収書や請求書などの経費申請業務に関連する書類を電子化すると良いでしょう。
経費申請を電子化させることで、紙の受け渡しをする必要がなくなりますので、承認業務もスムーズになります。

 

電子帳簿保存法に対応したシステムの導入

電子帳簿保存法に対応するためには、専用のシステムが必要になります。電子帳簿保存法では、電子保存するための要件がいくつか定められています。
たとえば、解像度は200dpi以上、階調は256以上でなければならないなど、保存方法について細かなルールがあります。そのため、システム選定の際には必ず電子帳簿保存法に対応しているかどうかを確認しておきましょう。

 

電子保存を始める3ヶ月前までに税務署へ申請

電子保存を始める3ヶ月前までに、税務署へ申請を行います。申請書類のフォーマットは、国税庁のホームページからダウンロードできます。
申請が遅れてしまうと書類の電子保存も遅れてしまいますので、事前にスケジュールを組んで早めに申請できるようにしておきましょう。

 

まとめ

これまでは、領収書や請求書を7年間、紙原本で保存しておく必要がありました。
そのため、増え続ける書類を保管する手間とスペースの問題がありましたが、電子帳簿保存法に対応することで、これらの課題を解決できるようになりました。

株式会社COELの提供するmanageは、電子帳簿保存法に対応しており、経費精算・経費精算・勤怠管理・稟議申請(ワークフロー)など、あらゆる業務のデジタル化を推進できるサービスです。経費精算の電子化を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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