工数管理の分析を行うメリットとは?管理方法から注意点をご紹介
工数管理の分析を行うことで、プロジェクトごとの進捗を把握しやすくなり、赤字プロジェクトを早期発見できるというメリットがあります。
また、分析を行うことで、ナレッジを蓄積して次の契約時に予想工数と見積金額の作成に活かすことが可能です。
しかし、精度の高い管理を行おうとして、細かすぎる項目を設定をしてしまうと、工数をつけるのに工数がかかってしまうため注意しなければなりません。
本記事では、工数管理の分析を行うメリットから、工数分析と改善実施方法、注意点について詳しく説明していきます。
目次
企業における工数管理とは
企業における工数管理は、大きく分けると2つあり、プロジェクト管理のためのものと、利益を把握するためのものがあります。
プロジェクト管理が目的であれば、現場の管理者が進捗に遅れがでていないかを、工数をもとに確認していきます。
また、利益を把握するための工数管理では、管理職が行い、プロジェクトが赤字になっていないか・利益が出せるように進んでいるか確認するのが特徴です。
工数管理を正しく行うことで、プロジェクトの進行度を可視化できるだけでなく、最大限に利益を獲得するための人員配置ができているかも確認できます。
プロジェクト管理のための工数管理
プロジェクト管理を行うことで、作業に対する労務費や経費などのコストが適切かどうか把握できます。
具体的には、各従業員から業務の進捗度を毎日提出してもらい、問題なく進んでいるか管理を行います。
もし、現在の従業員数でうまく進んでいないのであれば、人員の補充や外注に頼むといった対策をすぐに取ることが可能です。
この時、従業員1人ひとりの能力も加味したうえで工数管理を行う必要があり、ベテラン従業員と若手従業員では、業務スピードは異なります。
そのため、従業員ごとにどれくらいのスピードで業務が進められているのかも含めたうえで、工数管理を行っていきます。
利益を把握するための工数管理
利益を把握する目的の工数管理では、1つのプロジェクトを遂行するうえでかかった、諸経費などの原価管理を行っていきます。
人件費や経費材料費などの原価から受注額を引くことで利益を算出できるので、原価管理を精密に行うことで、より精度の高い原価を把握可能です。
そのため、従業員ごとの時間単価や業務にかかっている諸経費を細かく算出し、正しい原価を把握できるようにします。
このとき、利益を把握するための工数管理は、効果的な経営判断を行うために行われるため、管理を行うのは管理職や経営層が対応しましょう。
工数データを分析するメリット
工数のデータを分析することで、プロジェクトごとの進捗状況が可視化されるため、進捗が遅れている案件があればすぐに対応できます。
ほかには、赤字プロジェクトを早期発見できるようになり、大きな経営損失にならないよう、速やかに方向修正できるのもメリットです。
また、プロジェクトごとに工数管理ができれば、次回の契約時には蓄積されたナレッジをもとに、赤字にならないよう工数の予測と見積金額の算出が行なえます。
工数データの分析は、業務効率化や生産性の向上にもつながるため、企業としては精度の高いデータが必要となります。
プロジェクトごとの進捗を把握しやすい
工数データを分析できれば、プロジェクトごとの進捗がどのように進んでいるのかが可視化されます。
プロジェクトごとの進捗を把握できれば、納期遅れがあってもすぐに対応でき、納期直前になって間に合わないと慌てることもありません。
また、工数管理のデータがそろっていれば、グラフを用いた分析もできるので、一目で進捗状況も確認できます。
このとき、従業員の労働時間も同時に分析することで、適切な労務費も管理できるため、原価管理も行いやすくなっています。
赤字プロジェクトを早期発見できる
工数管理により、赤字プロジェクトがないか、早期発見できるのがメリットです。
方法としては、各従業員ごとに「標準単価」と呼ばれる1時間あたりの作業原価を設定します。
たとえば、主任の場合は標準単価3,500円、係長の場合は4,000円というように役職ごとで単価を決めるのが一般的です。
標準単価を決めておくと、工数が提出された際には、プロジェクトごとにかかった人件費が瞬時に判断できるようになります。
その結果、予定よりも多くの工数がかかっており、受注金額と原価の割合が合わなくなりそうなときには、速やかに対策できます。
もし、赤字プロジェクトとなっているのであれば、追加予算をもらったり、予算がかかりすぎている業務を改善したりと速やかに対策が可能です。
赤字プロジェクトが起きてしまうと、生産性の低下や経営状態の悪化につながるため、早期発見できるように分析できるのはメリットが大きいでしょう。
ナレッジを蓄積して次の契約時に活かせる
プロジェクトごとの工数管理を行い、データを残しておくことで、ナレッジの蓄積ができるため、次の契約時に活かせるようになります。
たとえば、蓄積されたナレッジをもとに、従業員を能力に合った案件に配置でき、生産性の向上につながります。
ほかにも、予想工数の精度が上がることで、無理のないスケジュールでプロジェクトの予定を組めるので、業務改善を行えるのもメリットです。
また、工数の予測精度が高いと適性価格での単価交渉がしやすくなり、コスト削減しつつしっかりと利益を確保できます。
分析しやすい工数管理を行う方法
工数管理の管理者を決めることで、従業員が工数をつけているか、進捗状況に問題ないかが管理がしやすくなり、分析しやすい工数管理を行えます。
このとき、工数管理には従業員の協力が必要不可欠なため、シンプルかつ、つけやすいような項目の設定と、記入用紙もしくはシステムが求められます。
また、予実管理も行うことで、目標値に向かって順調に進んでいるのかどうかも可視化することが可能です。
実工数と予定工数を比較すれば、次回以降のプロジェクトの際のスケジュールも組みやすくなるため、より精度の高い工数予測が行えます。
工数管理の管理者を決める
工数管理を行う際には、必ず管理者を決めておき、日々従業員がつけてくれている工数を確認しつつ、問題がないか定期的にチェックをします。
いつもより進行に遅れがでている場合には、速やかに従業員に確認を行い、問題解決できるように対応しましょう。
もし、管理者がいないとなると、問題が起きていても早期発見できない・正しく工数がつけられているかどうか判断できないといった問題が発生します。
そのため、従業員が日々工数をつけているのか確認を行い、リアルタイムでプロジェクトの状況を管理していくことが大切です。
従業員がつけやすい工数管理を検討する
精度の高い工数管理を行うのであれば、従業員の協力が必要となるため、つけやすい工数管理が必要です。
工数をつける項目が細かすぎたり、パソコンを使わない業務なのにパソコンで工数をつけてもらうとなると、従業員は非常に手間を感じます。
また、工数管理システムを導入した場合、使い勝手が難しい製品だとパソコンに慣れていない従業員からは負担に感じてしまいます。
そのため、誰でもつけやすい工数管理の導入を行い、負担にならないように利用してもらえる方法を検討しましょう。
工数だけでなく予実管理も行う
工数管理を行う際には、同時に予実管理も行うことで、設定した目標値に進んでいるのかが可視化されます。
事前に設定していた予算と、プロジェクトが進むことで発生している経費などに問題がないか確認できれば、赤字プロジェクトにならないように管理できます。
また、予定工数と実際の工数の差を比較できれば、次回以降のプロジェクトのスケジュール作成時の参考として利用することが可能です。
このように、予実管理を行うことで、次回以降のプロジェクトに関する見積やスケジュール管理の精度が上がるため、企業の経営課題の解決につながります。
目的別で見る工数分析と改善実施方法
工数分析を行う際には、プロジェクトごとや部署別、人員別に分けて分析することで、より細かく課題の改善が行えます。
プロジェクト別の分析の場合、案件ごとの工数を可視化して利益を改善できるため、赤字プロジェクトが起こりにくく黒字に着地させられます。
また、部署別の工数を分析することで、各部署にどれくらいの負担がかかっているのかが明確となり、ボトルネックの改善が可能です。
そして、作業人員ごとに工数を確認し、従業員の特性を把握できれば、より最適な人員配置が行えます。
【プロジェクト別分析】案件ごとの工数を可視化して利益を改善
案件ごとの工数を可視化できれば、どのプロジェクトで問題が発生しているのかが明確となり、赤字案件が発生しないように対策が取れます。
Aさんという社員の標準単価が1時間2000円で、1日8時間労働のすべてを1つのプロジェクトに当てたのであれば、1日の労務費は1万6千円です。
しかし、Aさんの予定工数が1日だったにもかかわらず、5日かかっているとなると、工数にずれが生じてしまい、大幅に労務費もかかります。
予定工数から大幅に遅れが出ているとわかれば、速やかに社員にヒアリングでき、必要に応じて人員補充するなど、具体的な対策が取れます。
もし複数プロジェクトを掛け持ちしているのであれば、ほかのプロジェクトでも遅れがでるため、参加しているプロジェクトすべてで調整が必要です。
このように、案件ごとに工数を可視化できれば、プロジェクトが黒字となるようにリアルタイムで対策できるため、利益の改善につながります。
【部署別分析】部署別の工数を分析してボトルネックを改善
部署別で工数を分析することで、どの部署にどれだけの負担がかかっているのか確認できます。
たとえば、複数部署が連携して行うプロジェクトの場合、案件によっては1つの部署に業務が集中することがあります。
特定の部署だけに負担がかかりすぎると、他の部署に仕事が回ってくるのか遅れてしまい、案件をうまく回せなくなるといったことが起こりがちです。
部署別の分析を行った結果、明らかに特定の部署に負担がかかっているようであれば、社内体制を見直すなど、早急に対策をする必要があります。
【人員別分析】作業人員と工数を改善して効率化
作業者別で工数を確認し分析することで、誰がどの作業にどれだけ工数をかけているのか把握できます。
従業員ごとに持っているスキルは異なるので、人員別分析ができれば、適切な人員の配置や業務改善が行えます。
また、工数がかかっている原因を現場にヒアリングするきっかけになり、速やかな業務改善を行うことも可能です。
業務改善により生産性が向上すれば、無駄なコストを削減してしっかりと利益を確保できるため、全員別分析も必ず行っていきましょう。
工数管理を行う際には手間にならないように注意が必要
工数管理を行う際には、いくつか注意点があり、工数は作業単位ではなくプロジェクト単位で管理することが大切です。
作業単位での工数管理だと、細かすぎてしまうため入力だけでなく分析の手間もかかるため注意しなければなりません。
また、現場仕事の場合はパソコンや紙で工数管理するよりも、スマートフォンから入力ができれば、非常に手軽です。
スマートフォンなら現場の従業員でも工数管理しやすく、データとして収集できるので、分析の手間もかかりません。
工数は作業単位ではなくプロジェクト単位で管理する
作業単位での工数管理だと、工数をつける項目が細かすぎるため、入力から分析まで時間がかかりがちです。
細かく工数管理ができれば、より精度も上がりますが、工数管理に時間がかかってしまっては、リアルタイムで分析するのも手間となります。
そのため、作業単位ではなくプロジェクト単位で工数管理を行うようにし、しっかりと原価を算出したうえで分析するようにします。
原価が正しく把握できていれば、正確な利益を把握できるようになるので、プロジェクト単位だとしても精度の高い工数管理が行えるでしょう。
スマホからでも利用できるか確認する
現場仕事の場合、従業員にPCが貸与されていないことが多いので、管理者が従業員の工数をまとめてつけるとなると、負担は非常に大きくなります。
そのため、個人のスマートフォンから、日々の工数をつけられれば、管理者の負担はなくなります。
従業員としても、使い慣れているスマートフォンから入力ができれば、時間をかけずに工数をつけられるため、負担を感じにくくなります。
従業員が正しい工数をつけられれば、精度の高い工数管理ができるので、入力するのに手間のかからないよう、スマートフォンで利用できるか確認しましょう。
工数管理システムを導入して効率的に分析しよう
工数管理を行う際には、従業員や管理者の手間にならないようなシンプルな使い勝手のものを用意することが望ましいです。
紙での工数管理だと、従業員の負担はそこまで大きくありませんが、管理者が分析しようと思うと紙に書かれている内容をパソコンに入力する手間が発生します。
しかし、工数管理システムなら、パソコンやスマートフォンから利用でき、データはシステム上に蓄積されるので分析しやすくなります。
弊社の提供するmanage 工数では、スマートフォンから工数を入力できるため、パソコンが支給されていない現場でもスムーズに工数管理ができます。
さらに、管理者向けのツールとして蓄積されたデータをグラフ表示できるため、分析しやすいのも特徴です。
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